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特許概要明細

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PCT(国際特許)概要明細

発明が解決しようとする課題
技術分野
0001 本発明は、たとえば、橋脚や橋脚間に架設される梁などに利用される構造物に係り 、特に、複数の鋼板を溶接して外周壁を構成する大型の橋脚又は橋梁構造物に関する。
背景技術
0002  平成7年に発生した阪神淡路大震災では、家屋の倒壊のみならず、高速道路など の大型の橋脚についても、亀裂、破損、倒壊などの被害が多数発生した。
0003  例えば、図10に示すように、矩形断面を有する橋脚KlOOでは、鋼板の角溶接部 が縦方向に裂け、鋼板が分離する結果、上部構造物の死荷重に対する鉛直方向の 耐力を失う状態となる脆性的な破壊が発生した。また、図11に示すように、円形断面 を有する橋脚KlOlにおいても、最初に発生した−箇所の局部座屈にその後の変形 が集中し、それに伴って橋脚が傾斜したり、変形の進展により円周方向に割れが生じ た状態となる被害が発生した。
0004  そこで、従来より、矩形状の外周壁の対面間に補強鋼材を垂直に取り付けて、地震 による崩壊を防ぐように構成された橋脚が提案されている。 特許文献1:特開平10−306408号公報
0005  その一例として、上記特許文献1には、水平断面が矩形状を有する鋼板製橋脚の 内部にその一方の中心線とこれと平行する各側板との間の略中間位置に極軟鋼材 からなる補強鋼材を垂直に取付けた矯正橋脚が開示されている。この補強鋼材は、 特許文献1の図2及び段落0017に記載されているように、左右の両側板を結ぶ中心 線とこれに平行する前後の側板との間の略中間位置に、溶接またはボルト等の固着 手段により、前後一対として固着されるものである。
0006  ところが、高速道路などに用いられる大型の橋脚においては、複数の鋼板を周方 向に溶接するとともに上下方向にも溶接して外周壁が構成されているところ、上記し た従来の補強構造は、鋼板同士の溶接部を意識した補強構造となっておらず、阪神 淡路大震災クラスの大地震に対しては、いまだ十分な補強効果が得られるものではなかった。
0007  そこで、本発明者は、複数の鋼板を周方向に溶接して按合し、水平断面が矩形状 若しくは多角形状又は円状となるように外周壁を形成した橋梁構造物において、前 記外周壁内部の空洞の中心部から前記鋼板の周方向の溶接位置に亘って水平断 面が放射状となるように複数の隔壁からなる補強部材を設けるとともに、前記隔壁の 水平方向端部の所要位置に、前記周方向の溶接位置において按合された2枚の鋼 板の双方の内面に跨るように、周方向に所要の幅を有する接合部を設け、この接合 部を前記外周壁内面に接合することにより、前記補強部材を前記外周壁内部に取付 けた構造物を提案した。 特許文献2:特許第3870244号公報
0008  特許文献2の構造物によれば、外周壁を構成する複数の鋼板の周方向の溶接位 置に、その溶接位置で接合される2枚の鋼板の双方の内面に跨るように周方向に所 要の幅を有する接合部が、内面から溶接部を補強するため、水平断面放射状の隔 壁を設けることによる局部座屈の防止効果に加え、接合部による溶接位置の補強効 果も得ることができる。
発明の開示
0009  ところが、上記した特許文献2の構造物は、鋼板同士の溶接部の位置を意識した構 造となっているが、外周壁の溶接位置を内側から補強するために隔壁の水平方向端 部に設けた接合部が板状の部材であったため、地震発生時に横方向から衝撃が加 わった場合等を想定すると、接合部が変形して外周壁に亀裂が生じるおそれがある ことを否定できなかった。そして、接合部が変形して鋼板の溶接部が裂けると、鋼板 が分離し、上部構造物の死荷重に対する鉛直方向の耐力を失う状態となって亀裂が さらに広がったり、最初に発生した局部座屈にその後の変形が集中して、それに伴っ て橋脚が傾斜するおそれがある。
0010  本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、局部座屈を防止し 、外周壁の溶接位置を補強するとともに、地震発生時に例えば隣接する構造物の倒壊などによ り横方向から衝撃が加わった場合でも、外周壁の溶接位置に亀裂が生じ ない橋脚又は橋梁構造物を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
0011  上記の目的を達成するため、本発明の橋脚又は橋梁構造物は、 複数の鋼板を周方向に溶接して按合し、水平断面が矩形状若しくは多角形状又は 円状となるように外周壁を形成するとともに、前記複数の鋼板を上下方向にも溶接し て接合した外周壁を有する橋脚又は橋梁構造物において、 前記鋼板の周方向溶接位置の内側に上下方向にH形鋼又は角型鋼管よりなる柱 状構造物を設け、前記周方向溶接位置で接合された2枚の鋼板の双方の内面と前 記柱状構造物の側面を接合するとともに、 前記外周壁内部の空洞の中心部には上下方向にH形鋼又は角型鋼管よりなる中 央柱状構造物を設け、 前記鋼板の上下方向溶接位置と同じ高さ位置には、一端が前記柱状構造物の側 面と接合され、他端が前記中央柱状構造物の側面と按合される補強アームを複数設 けたこと、 を最も主要な特徴点としている。
発明の効果
0012  本発明は、上記のような構成を採用したので、局部座屈を防止し、外周壁の溶接位 置を補強するとともに、地震発生時に横方向から衝撃が加わった場合でも、外周壁 の溶接位置に亀裂が生じないように溶接位置の強度を向上させることができる。
図面の簡単な説明
0013

図1
本発明の第1実施例の構成を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図 である。

図2
本発明の第2実施例の構成を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図 である。

図3
本発明の第3実施例の構成を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図 である。

図4
本発明に用いる柱状構造物の構成を説明する図であり、(a)は角型鋼管を用い る場合の図、(b)はH形鋼を用いる場合の図で奉る。

図5
本発明の第4実施例の構成を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図 である。

図6
本発明の第5実施例の構成を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図 である。

図7
本発明の効果を確認するために模型を用いて行った3点曲げ試験の結果を示 すグラフであり、(a)は補強部材を設けない場合の結果を、(b)は補強部材を用いた 場合の結果を示したものである。

図8
本発明の効果を確認するために模型を用いて行った圧縮試験(端面方向)の 結果を示すグラフであり、(a)は補強部材を設けない場合の結果を、(b)は補強部材 を用いた場合の結果を示したものである。

図9
本発明の効果を確認するために模型を用いて行った圧縮試験(角辺方向)の 結果を示すグラフであり、(a)は補強部材を設けない場合の結果を、(b)は補強部材 を用いた場合の結果を示したものである。

図10
従来の橋脚の角溶接部が破損した状態を説明する図である。

図11
従来の円形状の橋脚が局部座屈した状態を説明する図である。

図12
本発明の第6実施例の構成を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図 である。

符号の説明
0014 1外周壁 2a,2b,2C,2d 鋼板 3a,3b,3C,3d 周方向溶接位置 4a,4b,4C,4d 上下方向溶接位置 5 柱状構造物 6 中央柱状構造物 7 中央柱状アーム 8 補強部材 81第2補強部材 9 補強アーム Kl 橋脚
発明を実施するための最良の形態
0015  本発明は、局部座屈を防止し、外周壁の溶接位置を補強するとともに、地震発生 時に例えば隣接する構造物の倒壊などにより横方向から衝撃が加わった場合でも、 外周壁の溶接位置に亀裂が生じないように溶接位置の強度を向上させるという目的 を、複数の鋼板を周方向に溶接して接合し、水平断面が矩形状若しくは多角形状又は 円状となるように外周壁を形成するとともに、前記複数の鋼板を上下方向にも溶接し て接合した外周壁を有する橋脚又は橋梁構造物において、 前記鋼板の周方向溶接位置の内側に上下方向にH形鋼又は角型鋼管よりなる柱 状構造物を設け、前記周方向溶接位置で按合された2枚の鋼板の双方の内面と前 記柱状構造物の側面を接合するとともに、 前記外周壁内部の空洞の中心部には上下方向にH形鋼又は角型鋼管よりなる中 央柱状構造物を設け、 前記鋼板の上下方向溶接位置と同じ高さ位置には、一端が前記柱状構造物の側 面と按合され、他端が前記中央柱状構造物の側面と按合される補強アームを複数設 けたこと、 によって実現した(本発明の第1の構成)。
0016  また、本発明は、上記と同じ目的を達成するために、 複数の鋼板を周方向に溶接して按合し、水平断面が矩形状若しくは多角形状又は 円状となるように外周壁を形成するとともに、前記複数の鋼板を上下方向にも溶接し て接合した外周壁を有する橋脚又は橋梁構造物において、 前記鋼板の周方向溶接位置の内側に上下方向にH形鋼又は角型鋼管よりなる柱 状構造物を設け、前記周方向溶接位置で按合された2枚の鋼板の双方の内面と前 記柱状構造物の側面を接合するとともに、 前記鋼板の上下方向溶接位置と同じ高さ位置には、前記外周壁内部の空洞の中 心部から前記周方向溶接位置の方向に向けて延設された平面視十字状又は平面 視複数叉状の補強部材を設け、前記補強部材の側端を前記柱状構造物の側面と接 合した、 構成とすることもできる(本発明の第2の構成)。
0017  上記第1、第2の何れの構成を採用した場合でも、局部座屈を防止し、外周壁の溶 接位置を補強するとともに、地震発生時に横方向から衝撃が加わった場合でも、外 周壁の溶接位置に亀裂が生じないように、溶接位置の強度を向上させることができる 。なお、第1の構成は、構造物の内部に中央柱状構造物を設けているので、地面に 立設する橋脚用の構造物に適しており、第2の構成は橋梁用の構造物に適している
0018  また、上記第2の構成において、上下の補強部材の間に、両端が前記補強部材の 中心部と接合される、H形鋼又は角型鋼管よりなる中央柱状アームを複数設けた構 成とすれば、前記第1の構成と同様に、構造物の内部中央の強度を強化できるので 、好適である(本発明の第3の構成)。
0019  また、上記第1ないし第3の何れかの構成において、前記鋼板の上下方向溶接位 置の内側に水平方向に第2補強部材を設け、前記上下方向溶接位置で按合された 2枚の鋼板の双方の内面と前記第2補強部材の側面を接合するとともに、前記第2補 強部材の長手方向の両側端を前記柱状構造物の側面と按合した構成を採用すれば 、鋼板の上下方向溶接位置の補強効果も高めることができるので、好適である。
0020  本発明では、柱状構造物、中央柱状構造物、中央柱状アームとしては、H形鋼叉 は角型鋼管を用いる。なお、H形鋼を用いる場合は、開放している上下の面は予め 板部材を接合し、強度を向上させることが望ましい。
実施例
0021  以下、本発明の構造物を橋脚に適用する場合の実施例を用いて、本発明をさらに 詳細に説明する。図1は、水平断面が矩形状の外周壁1を有する橋脚Klに適用す る第1実施例の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図を示している。
0022  橋脚Klは、図1(b)に示すように、平板状の鋼板2a,2b,2C,2dを角溶接して接 合し、水平断面が矩形状となるように外周壁1を形成している。3aは、鋼板2aと鋼板 2bの間の周方向の溶接位置を示しており、同様に、3b,3C,3dも周方向め溶接位 置を示したものである。
0023  橋脚Klは、図1(a)に示すように、上下方向にも鋼板を溶接している。例えば、鋼 板2aの下には、鋼板2a2,2a3,2a4が接合されている。4aは、鋼板2aと鋼板2a2の 問の上下方向の溶接位置を示しており、同様に、4b,4Cも上下方向の溶接位置を示 したものである。そして、鋼板2aの高さ位置では、前述のように鋼板2b,2C,2dが周 方向に溶接されている。なお、実際の構造物においては、図1(a)に示す構造が上 下方向に必要数繰り返されている。図1(a)はその内の一部を取り出して図示したも のである。
0024  次に、本発明の特徴的な構成である柱状構造物5と中央柱状構造物6、両構造物 の側面の間に水平方向に取り付ける補強アーム9について説明する。先ず、柱状構 造物5は、図1に示すように、鋼板2a,2b,2C,2dの周方向溶接位置3a,3b,3C,3 dの内側に上下方向に立設される一体の部材である。例えば、周方向溶接位置3aの 内側に立設された柱状構造物5は、その位置で按合された2枚の鋼板2a,2bの双方 の内面とボルト止め若しくは溶接により按合される。
0025  また、第1実施例では、外周壁1の内部の空洞の中心部に、中央柱状構造物6を設 けている。中央柱状構造物6は、図1(a)に示すように、上下方向に立設される一体 の部材である。
0026  また、例えば鋼板2a,2a2,2a3,2a4の上下方向溶接位置4a,4b,4Cと同じ高さ 位置には、図1(a)に示すように、−轟端が柱状構造物5の側面と接合され、他端が中 央柱状構造物6の側面と接合される補強アーム9をそれぞれ設けている。補強アーム 9の長手方向の両端は、ボルト止め若しくは溶接により、柱状構造物5、中央柱状構 造物6の側面とそれぞれ接合されている。あるいは、柱状構造物5と中央柱状構造物 6に切り込みを設け、補強アーム9を差し込んだ上で、ボルト止め又は溶接しても良い。
0027  以上のように、第1実施例の橋脚Klは、外周壁1を構成する複数の鋼板2a,2b,2 C,2dの周方向の溶接位置3a,3b,3C,3dの内側4箇所に上下方向に柱状構造物 5をそれぞれ設け、周方向溶接位置3a,3b,3C,3dで接合された2枚の鋼板の双方 の内面と柱状構造物5の側面を接合し、さらに、外周壁1の内部の空洞の中心部に は上下方向に中央柱状構造物6を設け、鋼板の上下方向溶接位置4a,4b,4Cと同 じ高さ位置には、一端が柱状構造物5の側面と接合され、他端が中央柱状構造物6 の側面と按合される補強アーム9を設けている。
0028  第1実施例に係る構造物は、角溶接部を柱状構造物5で直接補強し、かつ、中央 柱状構造物6との間に、全体として平面視十字状となるように、補強アーム9を水平方 向に取り付けたので、局部座屈を防止するとともに、外周壁1の周方向の溶接位置3 a,3b,3C,3dを補強し、かつ、上下方向の溶接位置4a,4b,4Cについても効率的 に補強する効果が得られる。また、溶接位置を内部から補強する部材として柱状構 造物5を採用したので、地震発生時に例えば隣接する構造物の倒壊などにより横方 向から衝撃が加わった場合でも外周壁の溶接位置に亀裂が生じないように、溶接位 置の強度を向上させることができる。
0029 なお、第1実施例では、柱状構造物5と中央柱状構造物6としてH形鋼を用い、図1 (b)に示すように、H形鋼の開放している面は、予め板部材を接合している。上方向 から見た平面図である図1(b)の例で言うと、柱状構造物5の紙面左右側の面はH形 鋼自体の面であり、紙面上下側の面は予め按合した板部材の面である。また、第1実 施例では、補強アーム9としては、角型鋼管を使用している。
0030  次に、図2は、図1と同じく、平板状の鋼板2a,2b,2C,2dを角溶接して按合した外 周壁1を有する第2実施例の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
0031  橋脚K2の外周壁1の構成は、図1と同じであるため省略し、本発明の特徴的な構 成である柱状構造物5と補強部材8、補強部材8の間に上下方向に取り付ける中央 柱状アーム7について説明する。柱状構造物5は、図1に示すように、鋼板2a,2b,2 C,2dの周方向溶接位置3a,3b,3C,3dの内側に上下方向に立設される部材であ る。例えば、周方向溶接位置3aの内側に立設された柱状構造物5は、その位置で接 合された2枚の鋼板2a,2bの双方の内面と、ボルト止め若しくは溶接により接合される。
0032  銅板2a,2a2,2a3,2a4の上下方向溶接位置4a,4b,4Cと同じ高さ位置には、図 2(a)に示すように、外周壁1の内部の空洞の中心部から周方向溶接位置3a,3b,3 C,3dの方向に向けて延設された4本のアーム部を有する補強部材8が取り付けられ ている。補強部材8は、平面視十字状で上下方向に所要の厚みを備えた鋼材からな る。補強部材8の4方向に延設されたアーム部の端部は、柱状構造物5の形状と係合 するようにM字状に切り欠かれており、その切り欠き部の端面は、柱状構造物5の側 面とボルト止め若しくは溶接により接合されている。あるいは、柱状構造物5に切り込 みを設け、補強部材8のアーム部を差し込んだ上で、ボルト止め又は溶接しても良い。
0033  また、図2の例では、上下方向に4枚の補強部材8が設けられているが、この補強部 材8の間に、両端が補強部材8の中心部と、ボルト止め若しくは溶接により接合される 中央柱状アーム7を設けている。なお、第2実施例では、柱状構造物5と中央柱状ア ーム7として、図1と同様に、H形鋼5を使用している。
0034  以上のように、第2実施例の橋脚K2は、外周壁1を構成する複数の鋼板2a,2b,2 C,2dの周方向の溶接位置3a,3b,3C,3dの内側の4箇所に上下方向に柱状構造 物5をそれぞれ設け、周方向溶接位置3a,3b,3C,3dで按合された2枚の鋼板の双 方の内面と柱状構造物5の側面を按合し、さらに、鋼板の上下方向溶接位置4a,4b ,4Cと同じ高さ位置には、外周壁1の内部の空洞の中心部から周方向溶接位置3a, 3b,3C,3dの方向に向けて延設された平面視十字状の補強部材8を設け、補強部 材8の側端を柱状構造物5の側面と接合し、かつ、補強部材8同士の間に、両端が補 強部材8の中心部と接合される中央柱状アーム7を複数設けている。
0035  第2実施例に係る構造物は、角溶接部を柱状構造物5で直接補強し、平面視十字 状の補強部材8を水平方向に取り付けるとともに、補強部材8の中央部を中央柱状ア ーム7で連結したので、局部座屈を防止するとともに、外周壁1の周方向の溶接位置 3a,3b,3C,3dを補強し、かつ、上下方向の溶接位置4a,4b,4Cについても効率的 に補強する効果が得られる。また、溶接位置を内部から補強する部材として柱状構 造物5を採用したので、地震発生時に例えば隣接する構造物の倒壊などにより横方 向から衝撃が加わった場合でも外周壁の溶接位置に亀裂が生じないように、溶接位 置の強度を向上させることができる。
0036  なお、図2では、中央柱状アーム7を設ける場合の例を示したが、例えば、本発明を 橋梁用の構造物として使用する場合は、図3に示す第3実施例の橋脚K3のように、 中央柱状アーム7を省略した構成としても良い。
0037  また、図1〜図3に示す実施例では、柱状構造物5、中央柱状構造物6、中央柱状 アーム7として、上下の開放部に予め板部材を接合したH形鋼を使用したが、本発明 は、これに限らない。例えば、柱状構造物5は、図4(a)に示すように、角型鋼管51を 使用しても良い。また、図4(b)に示すように、H形鋼をそのまま使用することもできる
0038  また、図1〜図3に示す実施例では、柱状構造物5のコーナー部を、外周壁1の四 隅のコーナー部の内側に沿わせるように配置の上、接合する例を示したが、本発明 は、これに限らない。例えば、図4(a)(b)に示すように、柱状構造物51,52を450 回転させた状態で、外周壁1の鋼板と接合させても良い。
0039 また、図1〜図3に示す実施例では、水平断面が矩形状の橋脚に適用する場合の 例を開示したが、本発明は、これに限らない。例えば、水平断面が5角形の橋脚に適 用する場合は、図2において、補強部材8を平面視5叉状の部材とすれば良い。本発 明において、「平面視複数叉状の補強部材」とは、外周壁の形状に応じて、補強部 材8の中央から外周壁の周方向溶接位置に向けて延設させるアーム部の数を適宜 変化させたものをいう。
0040  次に、図5は、第4実施例の補強構造の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図 を示している。
0041  第4実施例の橋脚K5は、図5(b)に示すように、平面祝し字型に曲げられた鋼板25 a,25b,25C,25dの水平方向両端面を周方向にそれぞれ溶接して按合し、水平断 面が矩形状となるように外周壁15を形成している。35aは、鋼板25aと鋼板25bの問 の周方向の溶接位置を示しており、同様に、35b,35C,35dも周方向の溶接位置を 示したものである。
0042 橋脚K5は、図5(a)に示すように、上下方向にも鋼板を溶接している。例えば、鋼 板25aの下には、鋼板25a2,25a3,25a4,25a5が接合されている。45aは、鋼板2 5aと鋼板25a2の間の上下方向の溶接位置を示しており、同様に、45b,45C,45d も上下方向の溶接位置を示したものである。鋼板25aの高さ位置では、前述のように 鋼板25b,25C,25dが周方向に溶接されている。なお、実際の構造物においては、 図5(a)に示す構造が上下方向に必要数繰り返されている。図5(a)はその内の一部 を取り出して図示したものである。
0043 次に、本発明の特徴的な構成である柱状構造物5と補強部材8、補強部材8の間に 上下方向に取り付ける中央柱状アーム7について説明する。柱状構造物5は、図5(a )に示すように、鋼板25a,25b,25C,25dの周方向溶接位置35a,35b,35。,35d の内側(外周壁15の各辺の中央付近の内側)に上下方向に立設される部材である。 例えば、周方向溶接位置35aの内側に立設された柱状構造物5は、その位置で接合 された2枚の鋼板25a,25bの双方の内面と、ボルト止め若しくは溶接により按合される。
0044 鋼板25a,25a2,25a3,25a4,25a5の上下方向溶接位置45a,45b,45。,45d と同じ高さ位置には、図5(a)に示すように、外周壁1の内部の空洞の中心部から周 方向溶接位置35a,35b,35C,35dの方向に向けて延設された平面視十字状で所 要の厚みを備えた鋼材からなる補強部材8が取り付けられている。補強部材8の4方 向に延設されたアーム部の端面は、柱状構造物5の側面とボルト止め若しくは溶接 により接合されている。あるいは、柱状構造物5に切り込みを設け、補強部材8のアー ム部を差し込んだ上で、ボルト止め又は溶接しても良い。
0045 また、図5の例では、上下方向に6枚の補強部材8が設けられているが、この補強部 材8の間に、両端が補強部材8の中心部と、ボルト止め若しくは溶接により接合される 中央柱状アーム7を設けている。なお、第4実施例では、柱状構造物5と中央柱状ア ーム7として、図1の第1実施例と同様に、H形鋼5を使用している。
0046 以上のように、第4実施例の橋脚K5は、外周壁15を構成する複数の鋼板25a,25 b,25C,25dの周方向の溶接位置35a,35b,35C,35dの内側の4箇所に上下方 向に柱状構造物5をそれぞれ設け、周方向溶接位置35a,35b,35C,35dで接合さ れた2枚の鋼板の双方の内面と柱状構造物5の側面を按合し、さらに、鋼板の上下 方向溶接位置45a,45b,45C,45dと同じ高さ位置には、外周壁1の内部の空洞の 中心部から周方向溶接位置35a,35b,35C,35dの方向に向けて延設された平面 視十字状の補強部材8を設け、補強部材8の側端を柱状構造物5の側面と按合し、 かつ、補強部材8同士の間に、両端が補強部材8の中心部と按合される中央柱状ア ーム7を複数設けている。
0047  第4実施例に係る構造物は、外周壁15の溶接位置を柱状構造物5で直接補強し、 平面視十字状の補強部材8を水平方向に取り付けるとともに、補強部材8の中央部を 中央柱状アーム7で連結したので、局部座屈を防止するとともに、外周壁15の周方 向の溶接位置35a,35b,35C,35dを補強し、かつ、上下方向の溶接位置45a,45 b,45Cについても効率的に補強する効果が得られる。また、溶接位置を内部から補 強する部材として柱状構造物5を採用したので、地震発生時に例えば隣接する構造 物の倒壊などにより横方向から衝撃が加わった場合でも外周壁の溶接位置に亀裂 が生じないように、溶接位置の強度を向上させることができる。
0048  次に、図6は、第5実施例の補強構造の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図 を示している。
0049  橋脚K6は、図6(b)に示すように、1/4円弧状の鋼板26a,26b,26C,26dを溶 接して按合し、水平断面が円形状の外周壁16を形成している。36aは、鋼板26aと 鋼板26bの間の周方向の溶接位置を示しており、同様に、36b,36C,36dも周方向 の溶接位置を示したものである。
0050  橋脚K6は、図6(a)に示すように、上下方向にも鋼板を溶接している。例えば、鋼 板26aの下には、鋼板26a2,26a3,26a4,26a5が接合されている。46aは、鋼板2 6aと鋼板26a2の間の上下方向の溶接位置を示しており、同様に、46b,46C,46d も上下方向の溶接位置を示したものである。鋼板26aの高さ位置では、前述の上うに 鋼板26b,26C,26dが周方向に溶接されている。なお、実際の構造物においては、 図6(a)に示す構造が上下方向に必要数繰り返されている。図6(a)はその内の一部 を取り出した説明図である。
0051  次に、本発明の特徴的な構成である柱状構造物5と補強部材8、補強部材8の問に 上下方向に取り付ける中央柱状アーム7について説明する。柱状構造物5は、図6(a )に示すように、鋼板26a,26b,26C,26dの周方向溶接位置36a,36b,36C,36d の内側に上下方向に立設される部材である。例えば、周方向溶接位置36aの内側に 立設された柱状構造物5は、その位置で接合されたた2枚の鋼板26a,26bの双方の 内面と、ボルト止め若しくは溶接により接合される。
0052  鋼板26a,26a2,26a3,26a4,26a5の上下方向溶接位置46a,46b,46C,46d と同じ高さ位置には、図5(a)に示すように、外周壁1の内部の空洞の中心部から周 方向溶接位置36a,36b,36C,36dの方向に向けて延設された平面視十字状の補 強部材8が取り付けられている。補強部材8の4方向に延設されたアーム部の端面は 、柱状構造物5の側面と、ボルト止め若しくは溶接により接合されている。あるいは、 柱状構造物5に切り込みを設け、補強部材8のアーム部の端部を差し込んだ上で、 ボルト止め又は溶接しても良い。
0053  また、図6の例では、上下方向に6枚の補強部材8が設けられているが、この補強部 材8の間に、両端が補強部材8の中心部と、ボルト止め若しくは溶接により接合される 中央柱状アーム7を設けている。なお、第4実施例では、柱状構造物5と中央柱状ア ーム7として、図1の第1実施例と同様に、H形鋼5を使用している。
0054  以上のように、第5実施例の橋脚K6は、外周壁16を構成する複数の鋼板26a,26 b,26C,26dの周方向の溶接位置36a,36b,36C,36dの内側の4箇所に上下方 向に柱状構造物5をそれぞれ設け、周方向溶接位置36a,36b,36C,36dで按合さ れた2枚の鋼板の双方の内面と柱状構造物5の側面を按合し、さらに、鋼板の上下 方向溶接位置46a,46b,46C,46dと同じ高さ位置には、外周壁1の内部の空洞の 中心部から周方向溶接位置36a,36b,36C,36dの方向に向けて延設された平面 視十字状の補強部材8を設け、補強部材8の側端を柱状構造物5の側面と按合し、 かつ、補強部材8同士の間に、両端が補強部材8の中心部と按合される中央柱状ア ーム7を複数設けている。
0055  第5実施例に係る構造物は、外周壁16の溶接位置を柱状構造物5で直接補強し、 平面視十字状の補強部材8を水平方向に取り付けるとともに、補強部材8の中央部を 中央柱状アーム7で連結したので、局部座屈を防止するとともに、外周壁16の周方 向の溶接位置36a,36b,36C,36dを補強し、かつ、上下方向の溶接位置46a,46 b,46Cについても効率的に補強する効果が得られる。また、溶接位置を内部から補 強する部材として柱状構造物5を採用したので、地震発生時に横方向から衝撃が加 わった場合でも、外周壁の溶接位置に亀裂が生じないように、溶接位置の強度を向 上させることができる。
0056  次に、図12は、図2の第2実施例の構成に対し、上下方向溶接位置の補強効果を さらに高めるように構成した第6実施例の説明図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図 である。
0057  橋脚K12の外周壁1の構成は、図2と同じであるため省略し、本発明の特徴的な構 成である柱状構造物5と補強部材8、第2補強部材81、補強部材8の間に上下方向 に取り付ける中央柱状アーム7について説明する。柱状構造物5は、図1に示すよう に、鋼板2a,2b,2C,2dの周方向溶接位置3a,3b,3C,3dの内側に上下方向に立 設される部材である。例えば、周方向溶接位置3aの内側に立設された柱状構造物5 は、その位置で按合された2枚の鋼板2a,2bの双方の内面と、ボルト止め若しくは溶 接により按合される。
0058  第2補強部材81は、鋼板2a,2a2,2a3,2a4の上下方向溶接位置4a,4b,4Cの 内側に按するように水平方向に取り付けられる部材である。例えば、上下方向溶接 位置4aの内側に水平方向に取り付けられた第2補強部材81は、その位置で按合さ れた2枚の鋼板2a,2a2の双方の内面とボルト止め若しくは溶接により按合される。
0059  第2補強部材81の長手方向の両側端は、柱状構造物5の側面とボルト止め若しく は溶接により接合されている。このとき、柱状構造物5の側面に切り込みを設け、第2 補強部材を差し込んだ上で、ボルト止め又は溶接しても良い。
0060  鋼板2a,2a2,2a3,2a4の上下方向溶接位置4a,4b,4Cと同じ高さ位置には、図 12(a)に示すように、外周壁1の内部の空洞の中心部から周方向溶接位置3a,3b, 3C,3dの方向に向けて延設された4本のアーム部を有する補強部材8が取り付けら れている。補強部材8は、平面視十字状で上下方向に所要の厚みを備えた鋼材から なる。補強部材8の4方向に延設されたアーム部の端部は、図12に示すように、直交 する第2補強部材81の角部の形状に係合するように山型に切り欠かれており、その 切り欠き部の先端の端面は、柱状構造物5の側面(角部分)とブラケットによるボ/レト 止め若しくは溶接により接合されている。また、補強部材8のアーム部の山型に切り 欠かれた端面は、第2補強部材81の側面とも、ブラケットによるボルト止め若しくは溶 接により接合されている。
0061  また、図12の例では、上下方向に5枚の補強部材8が設けられているが、この補強 部材8の間に、両端が補強部材8の中心部と、ボルト止め若しくは溶接により按合さ れる中央柱状アーム7を設けている。なお、第6実施例では、柱状構造物5と中央柱 状アーム7として、図1と同様に、H形鋼5を使用している。
0062  このように、第6実施例の橋脚K12は、第2実施例の構成に加えて、鋼板2a,2a2, 2a3,2a4の上下方向の溶接位置4a,4b,4Cの内側の水平方向に第2補強部材81 を設け、上下方向溶接位置4a,4b,4Cで接合された2枚の鋼板の双方の内面と第2 補強部材81の側面を接合するとともに、第2補強部材の長手方向の両側端を柱状 構造物5の側面と按合した構成としている。
0063  第6実施例に係る構造物は、角溶接部を柱状構造物5で直接補強し、平面視十字 状の補強部材8を水平方向に取り付けるとともに、補強部材8の中央部を中央柱状ア ーム7で連結したので、局部座屈を防止するとともに、外周壁1の周方向の溶接位置 3a,3b,3C,3dを補強し、かつ、上記のような第2補強部材81を設けたので、上下方 向の溶接位置4a,4b,4Cを補強する効果が向上する。このようにすることで、地震発 生時に例えば隣接する構造物の倒壊などにより横方向から衝撃が加わった場合でも 外周壁の溶接位置に亀裂が生じないように、溶接位置の強度を向上させることがで きる。
0064  なお、図12の橋脚K12に対し、さらに外周壁1の内部にコンクリートを打ち込む構 成とすることも可能である。その場合、図12では、基礎の部分の図示を省略している が、基礎よりコンクリートを打ち込む位置まで鉄筋をはわせるようにする。
0065 また、図12では、中央柱状アーム7を設ける場合の例を示したが、例えば、本発明 を橋梁用の構造物として使用する場合は、図3に示す第3実施例の橋脚K3のように 、中央柱状アーム7を省略した構成としても良い。また、図12では、中央柱状アーム7 を用いる場合の例を開示したが、図1に示す第1実施例のように、上下方向に一体の 部材である中央柱状構造物6を用いても良い。
0066 次に、水平断面矩形状の角型パイプと、図3に示すような、対角線状に補強部材8 を取り付けた構成の角型パイプを、模型として使用し、3点曲げ試験、端面方向の圧 縮試験、角辺方向の圧縮試験行った結果を図7〜図9に示す。何れの試験も試料片 に対し、1mm/minの荷重を加え、破断するまでの最大荷重(kN)を測定した。試 験機は、オリエンテック社製のものを使用し、試験片は、一辺が約50mmの角型パイ プ状のSTKR材で、3点曲げ試験では長さ140mmのもの、圧縮試験では長さ70m mのものを使用した。
0067図7(a)は、補強部材8を設けない従来例に相当する模型の3点曲げ試験の結果を 示すもので、最大荷重50(kN)付近で破断が発生した。これに対して、補強部材8を 取り付けた本発明に相当する模型では、図7(b)に示すように、最大荷重106(kN) 付近で破断が発生しており、3点曲げ試験では、約2倍の効果が得られることが確認 された。
0068また、図8(a)は、補強部材8を設けない従来例に相当する端面方向(角型パイプ の1つの側面と直交する方向)の圧縮試験の結果を示すもので、最大荷重95(kN) 付近で破断が発生した0これに対して、補強部材8を取り付けた本発明に相当する模 型では、図8(b)に示すように、最大荷重300(kN)付近で破断状態となり、約3倍の 効果が得られることが確認された。
0069図9(a)は、補強部材8を設けない従来例に相当する角辺方向(角型パイプの対角 線と平行な方向)の圧縮試験の結果を示すもので、最大荷重12.5(kN)付近で破 断が発生した。これに対して、補強部材8を取り付けた本発明に相当する模型では、 図9(b)に示すように、最大荷重130(kN)付近で破断状態となり、約10倍の効果が 得られることが確認された。
0070本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適 宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。例えば、第1ないし第6実施例 では、外周壁の水平方向断面が矩形状の場合の具体例として正方形のものを開示 したが、本発明は、水平方向断面が長方形の外周壁を備えた橋脚にも適用できる。 例えば、図5の実施例であれば、補強部材8の縦方向の長さと横方向の長さを、長方 形の外周壁の辺の長さに合わせて変更すれば良い。 産業上の利用可能性
0071本発明は、橋脚に限らず、橋脚の間に架設される梁用の構造物にも適用できるも のである。
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